この世界が一枚のディスクに入れてしまう。そこで生活する人々,そこで行われる政治,そこで行われる哲学,そこで行われる恋愛…。そのひとつひとつがビットとして記憶されていく…。
米国IBM社は15日,記憶容量が73GBのハードディスク「ウルトラスター72ZX」などの製品を発表した。現在のハードディスクの最大容量は米国シーゲイト社の50GM。それを大きく上回った。ウルトラスター72ZXは,回転数1万rpm,22個のGMRヘッドを使い,面記録密度は7.04Gビット/1インチ平方,読み出し時の平均シーク時間は5.3ms(ミリ秒)。IBMは2000年第1四半期の出荷開始を予定している。
「ニューヨーク公立図書館の1フロアの全書籍を格納してもまだ余る」というハードディスク。リムーバブルディスクでは,イスラエルのC3D社が,150GBのディスクを発表し,さらにテラバイト(100GB)単位まで研究を進めているという(WIRED NEWSの記事)。1枚のディスクはより多くの情報を詰め込んでいき,キロからメガへ,そしてギガからテラ(1TB=1024GB)へ,そして,ペタ(1PB=1024TB)の単位へと突き進む。現在の磁気ディスクから,ホログラフィックなどの素材を利用した媒体にレーザーによって読み書きする光学式ディスクへと移行した先には,そんな世界が見えてくる。
そこでは,画像や映像や3Dなどを飛び越え,リアルが内包されるかもしれない。リアルの情報のコードをすべて,1枚のディスクに焼きこめば,データのバックアップではなく,リアルのバックアップというのもありえるのか? リアルには目に見えない記憶容量が存在するが,いつか,デジタルの記憶メディアがそれを追い越す。世界は無限のビットで構成されていくんだ。
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